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老人ホームの個室に持ち込めるインテリアの選び方やレイアウトを解説

老人ホームの個室に持ち込めるインテリアの選び方やレイアウトを解説

老人ホームの個室に家具や家電などのインテリアを持ち込む際、まずは入居予定である老人ホームの個室の広さや形状、設備を把握することが大切です。施設には、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などさまざまな種類があります。施設ごとに広さや形状、設備が異なることがあるため、持ち込み可能か確認した上でレイアウトを考えましょう。

当記事では、老人ホームの個室の広さや持ち込むと便利な家具や家電、インテリアの選び方やレイアウトを解説します。

1. 老人ホームの個室の広さは施設によって違う

老人ホームなどの介護施設における個室のインテリアについて考える際には、個室がどの程度の広さであるか事前に確認しておく必要があります。老人ホームの個室の広さに関しては、入居者1人あたりの最小面積が定められていますが、施設の種類によって異なる点に注意が必要です。

【施設の種類別】老人ホームの個室における最低面積

施設の分類 施設の性質 最小の部屋面積(1人あたり)
特別養護老人ホーム 要介護高齢者のための生活施設10.65平方メートル
有料老人ホーム 高齢者のための住居10.65平方メートル
サービス付き高齢者向け住宅 高齢者のための住居25平方メートル(※)
認知症高齢者グループホーム 認知症高齢者のための共同生活住居7.43平方メートル

出典:厚生労働省「高齢者向け住まいについて」

出典:厚生労働省「社会福祉住居施設の設備基準」

※居間や食堂などが十分に広い場合は18平方メートル

関東地方を中心に使用されている江戸間(1畳=1.548平方メートル)で換算すると、各施設の個室における1人あたりの最小の畳数は次のようになります。

【老人ホームの個室の畳数(江戸間換算・1人あたり)】

施設の分類 1人あたりの最小畳数
特別養護老人ホーム約6.9畳
有料老人ホーム約8.4畳
サービス付き高齢者向け住宅約16.1畳
認知症高齢者グループホーム約4.8畳

このように、老人ホームの個室の広さは施設の種類によって異なりますが、広いほど良いというわけではありません。利用する方の介護度や体の状態によっては、よりコンパクトな部屋のほうが利用しやすい場合もあるため、将来のことを考えた上で個室の広さを選ぶようにしましょう。

1-1. 個室の形状は施設により変わる

老人ホームに持ち込む家具・家電の種類やレイアウトを検討する際には、個室の形状も考慮することが大切です。個室の形状は施設によって異なり、主に次のようなタイプがあります。

【老人ホームにおける個室の形状】

個室の形状 特徴
従来型個室
  • 廊下のまわりに個室が配置されている
  • 共用の施設は独立した別のスペースにある
ユニット型個室
  • 10人前後の入居者を1ユニットとして、ユニット単位で共同生活を送る
  • 自宅に近い環境でほかの入居者やスタッフと共同生活を送り、入居者個々に合った暮らしの中でサポートをする介護手法「ユニットケア」を取り入れている
  • 共用スペース(リビング)を中心に配置し、そのまわりに個室が配置されている
準個室
  • 以前は大部屋(多床室)として使用していた部屋をパーティションなどの簡易的な壁で区切り、各スペースを個人で利用する
  • 各スペースには窓があり、出入り口には個別のドアが設けられているためプライバシーは保護される

1-2. 個室の設備も施設によって異なる

老人ホームの個室にどの程度の家具・設備があるかは、施設の種類によって異なります。特別養護老人ホームや有料老人ホームの場合、要介護度が高い方や介護を必要とする方がほとんどです。安全面に配慮し、個室には一部の設備のみ設置しているという施設も珍しくありません。

また、サービス付き高齢者向け住宅の入居者は自立した生活を前提としている場合が多いため、一般的な住宅と同じような設備が施設内に備わっているケースも少なくありません。次のような設備が設置されている施設もありますが、施設によっては浴室や台所が共用の場合もあるため、事前に問い合わせましょう。

【サービス付き高齢者向け住宅の個室にある設備の種類】

設備の種類 割合
トイレ100.0%
洗面99.9%
浴室20.2%
台所35.6%
収納97.8%
5点すべて完備19.3%

出典:高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(令和4年8月末時点)」

このように、同じ分類の施設であっても、個室に備えられている設備は施設ごとに異なる場合もあります。個室に持ち込む家具・家電を決定する前に、入居予定の老人ホームの設備について確認し相談するようにしましょう。

2. 老人ホームに持ち込むと便利な家具・家電の例

老人ホームに備え付けられている家具・家電は施設によって異なるため、事前に確認した上で必要に応じて家具・家電やインテリアを持ち込むことが一般的です。施設に備わっている設備にもよりますが、テレビや冷蔵庫、加湿器などの家電や、タンス・収納ケースなどの収納用品、介護ベッドなどを考えておくとよいでしょう。

ここでは、老人ホームに持ち込むことが多い家具・家電について、持ち込むメリットや選ぶ際のポイントを解説します。

2-1. テレビ

多くの老人ホームでは、共用スペースにテレビを設置しています。しかし、共用スペースのテレビは入居者が共同で使用するため、必ずしも自分の好きなテレビ番組を視聴できるとは限りません。また、「食事の時間はテレビを消す」など、テレビの利用時間を制限している施設もあります。

個室にテレビを持ち込めば、個室で自分の好きなテレビ番組を視聴できるため、楽しみの時間が増えるでしょう。ただし、テレビの持ち込みを禁止している施設や利用のルールがある施設もあるため、テレビを持ち込みたい場合は施設側に事前に確認することが大切です。

テレビを個室に持ち込む場合、個室の広さやテレビと視聴する人との距離を考慮した上で、適切なサイズを用意しましょう。サイズが大きすぎるとかえって見えにくくなってしまうため、15~19インチ程度を目安に選ぶことをおすすめします。

2-2. 冷蔵庫

自分用の冷蔵庫があれば、飲み物や食べ物を気兼ねなく保管しておけるというメリットがあります。冷蔵庫の持ち込みができる施設の場合、入居者自身が冷蔵庫の中身を管理できる状態であり、特別な栄養管理が必要ない方であれば持ち込みが認められるでしょう。1人暮らし向けの冷蔵庫など、コンパクトなサイズのものがおすすめです。

一方、冷蔵庫の管理や栄養管理、コンセントの数などの面から、冷蔵庫の持ち込みを禁止している施設も少なくありません。また、冷蔵庫の持ち込みが認められている施設でも、入居者の心身状態・栄養管理の状態によっては、冷蔵庫の持ち込みができない場合もあります。施設のルールを事前に確認した上で、施設側と十分に話し合うようにしましょう。

2-3. 加湿器

ウイルスなどの病原体に対する抵抗力は、加齢に伴って弱くなる傾向があります。老人ホームなど高齢者が集団生活を送る施設は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの感染症が広がりやすい環境であると言えるでしょう。

ウイルスによる感染症を防ぐ方法はいくつかありますが、部屋の空気を十分に換気するとともに、部屋の湿度を40~60%程度に維持することが大切です。特に乾燥しやすい冬は適切な湿度をキープすることが難しいため、加湿器などを活用して部屋を適度に加湿するようにしましょう。

個室に持ち込む加湿器は、入居者自身が衛生を保てるものがおすすめです。タンクの水を取り替えやすく、吹出口が熱くならないタイプを選びましょう。部屋の広さに応じて移動の妨げにならないサイズを選ぶこともポイントです。

2-4. タンスや収納ケース

入居予定の施設に備え付けのタンスや収納ケースがない場合は、衣類やタオルなどを収納・整理するためのタンスや収納ケースを持ち込むとよいでしょう。

部屋にクローゼットがある場合、クローゼットに収まるサイズのものを選ぶと部屋を広く使えます。クローゼットがない場合は、部屋の広さや収納する衣類などの量に応じて、3~5段程度の木製チェストやプラスチック製の収納ケースを持ち込むとよいでしょう。テレビ台と兼用する場合は、強度の高いものを選ぶことがポイントです。

また、高齢者は指先の力が弱くなっている場合が多いため、タンスの引き出しは楽に引き出せるタイプを選ぶことをおすすめします。安全面を考慮し、キャスター付きや重ねるタイプなど安定性の低いタンスも避けたほうがよいでしょう。

2-5. ベッド

多くの老人ホームでは個室にベッドが備え付けられていますが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の場合、介護ベッドの持ち込みが必要になる施設もあります。入居の契約をするまでに十分確認しておきましょう。

介護ベッドを購入する際には高額の費用がかかりますが、公的介護保険を利用すればコストを抑えてレンタルすることも可能です。要介護2以上の方であれば、実際のレンタル料の1~3割程度の自己負担で借りられるため、制度を活用しながら入居予定者の状態に合ったベッドを選ぶようにしましょう。

【介護ベッドの主な機能と利用に向いている方】

介護ベッドの機能 向いている方
背上げ機能
  • ベッドから起き上がるのが大変な方
  • ベッド上で食事やテレビの視聴などを行う必要がある方
高さ調節機能
  • ベッドからの立ち上がりや腰かけを安定して行いたい方
  • 介助者の身体的負担を軽減したい方
足上げ機能
  • 足のむくみが気になる方
  • 背上げの際に上半身が足側にずれるのを防ぎたい方

なお、体の状態によっては介護ベッドではなく、一般的な家庭用ベッドや布団を使用することも1つの方法です。据え置きタイプの手すりやサイドレールなども併用するとよいでしょう。

3. 老人ホームで利用しやすいインテリアの選び方

老人ホームの個室に持ち込む家具・家電などのインテリアを選ぶ際には、次のようなポイントを念頭に置いて検討することが大切です。

【老人ホームで利用しやすいインテリアの選び方】

  • つかまっても倒れない家具を選ぶ
  • 落ち着いて生活できる配色にする
  • 高齢者でも使いやすいか確認する
  • 使い慣れた愛着のある家具を持ち込む

ここでは、上記の4つのチェックポイントについて詳しく解説します。

3-1. つかまっても倒れない家具を選ぶ

加齢に伴い足腰が弱くなっている高齢者も少なくありません。移動の際に家具を支えにして歩いたり、急にふらついて咄嗟に家具や家電につかまったりすることもあるでしょう。

このような場面に備えて、老人ホームの個室に持ち込む家具・家電を検討する際は、つかまっても倒れないものを選ぶことが大切です。キャスター付きで容易に移動できる家具は、転倒につながる可能性があるため避けましょう。転倒防止の対策が行われているものや、頑丈でがっしりとしたものを中心に選ぶと、転倒によるケガのリスクを低減できます。

3-2. 落ち着いて生活できる配色にする

個室に持ち込む家具・家電を選ぶ際には、入居者が落ち着いて生活できる色を選ぶことが大切です。色は人に心理的な影響を与えるため、入居する本人の好みを考慮した上で快適に過ごせる色・柄や配色のしかたを考えましょう。

例えば、ベッド周辺などリラックスしたい場所や寝具には、落ち着きを高める青系・緑系の色がおすすめです。食事を行う場所は黄色やオレンジ色などの元気な色合いを選ぶとよいでしょう。また、黄色と黒色などコントラストが強い組み合わせや、高齢者が認識しにくいグレーなどの色は避けたほうが無難です。

3-3. 高齢者でも使いやすいか確認する

高齢者は加齢に伴い、認知能力や体力、視力、指先の器用さなど身体面での機能が低下している場合も少なくありません。引き出しの開け閉めが軽いタンスや、使い方や手入れのしかたがシンプルな家電など、高齢者でも使いやすく不便を感じにくいものを検討しましょう。

また、可能であれば入居する本人と一緒に家具・家電を選びに行くこともおすすめです。展示品などに実際に触れてみて、タンスの引き出しの高さや冷蔵庫のドアの位置、加湿器のタンクの重さなどを家族で確認してみるとよいでしょう。

3-4. 使い慣れた愛着のある家具を持ち込む

家具や家電によっては新しいものを買い直す必要がある場合もありますが、すべての家具・家電を新規購入する必要はありません。むしろ、使い慣れた愛着のある家具・家電を持ち込むことを推奨している施設もあります。

老人ホームに入居するということは、住み慣れた愛着のある自宅を離れて新しい場所で生活を始めるということです。生活環境が大きく変わるため、入居する本人にとって大きな負担となるでしょう。

新しい生活環境の中に使い慣れた愛着のある家具・家電があれば、環境の変化によるストレスを軽減できると考えられます。入居する本人の意見・意向を尊重した上で、使い慣れた家具・家電の中から持ち込むものを検討しましょう。

4. 老人ホームに持ち込むべき日用品の例

老人ホームに入居する際には、家具・家電以外に身の回りの日用品も持参する必要があります。個室のインテリア以外に持ち込むべき日用品には次のようなものがあるため、参考にしながら準備を進めましょう。

【老人ホームに入居する際に必要な日用品】

  • 衣類(パジャマ・肌着・靴下も含む)
  • ひざ掛けなど体温調節に使用するアイテム
  • 洗面用具(タオル・歯ブラシ・石けん・入れ歯ケース・スキンケア用品など)
  • 衛生用品(爪切り・耳かき・ティッシュ・トイレットペーパー・オムツなど)
  • 履物(室内用・屋外用)
  • 食事用品(使いやすい食器・箸・食事用エプロンなど)

老人ホームに入居する際に必要な持ち物は、下記の記事で詳しく解説しています。持ち物リストの作成や入居時のチェックなどにもご活用ください。

老人ホームに入居するときの持ち物とは?必要になるものを紹介

5. 老人ホームで快適に過ごすためのレイアウトのコツ

老人ホームの個室で快適な生活を送るためには、1日の大半を過ごすと考えられる個室のレイアウトが重要になります。住み慣れた自宅から離れるストレスを最小限に抑えるためにも、ポイントやコツを押さえたレイアウトを心がけましょう。

ここでは、老人ホームで快適で充実した生活を送るためのレイアウトのコツを4つ紹介します。

5-1. 入居前に居室のレイアウトをチェックする

老人ホームなどの高齢者向け施設では、高齢者が安心して利用できるよう安全面に配慮されたレイアウト設計になっているケースがほとんどです。しかし、すべての入居者にとって最適なつくりになっているわけではありません。入居する本人が生活する上で効率よく移動できる動線を整備できるかどうか、入居前に十分確認しておきましょう。

また、居室の位置によっては日当たりや風通しが良くない場合があることにも注意が必要です。時間帯を変えて何度か見学に行き、「心地よい風が通るか」「日当たりがきつすぎる・悪すぎることがないか」といった点を忘れずにチェックしておきましょう。

5-2. ナースコールやヘルパーコールの配置に注意する

老人ホームの個室には、困ったときに施設のスタッフを呼ぶためのナースコールやヘルパーコールが設置されています。入居時に家具・家電を設置する際や、レイアウトを変更する際には、これらの位置にも注意して配置を決めるようにしましょう。

特に、半身に麻痺があるなど体を自由に動かすことが難しい方は、ベッドで寝ている状態でもナースコールやヘルパーコールを押せるようにベッドを配置することが大切です。ナースコールやヘルパーコールの利用を妨げる位置に家具や家電を設置することも避けましょう。

5-3. 使いやすいようベッドを配置する

介護ベッドは大きく重量もあるため、一度配置すると位置を変更しにくいという点に注意が必要です。1日の多くの時間をベッドの上で過ごす方の場合は、窓の外の景色が見やすい位置や、テレビが見やすい位置、直射日光が当たらない位置などに設置するとよいでしょう。体に麻痺がある方の場合は、麻痺側を壁側にするなどベッドから起き上がりやすい環境を整えることも大切です。

また、ベッドを配置する際には、入居者だけでなく介助者の使いやすさも考慮する必要があります。オムツ交換やシーツ交換などのケア・作業がスムーズにできるよう、ベッドと壁の間には人が1人入れるスペースを設けておきましょう。

5-4. 車椅子で動けるスペースを意識する

老人ホームの個室に家具・家電を配置する際には、入居する方の移動手段も考慮して通路幅を確保する必要があります。例えば、幅65cm程度の車椅子で移動する場合、ストレスなく移動するためには80~90cmほどの通路幅が必要になると言われています。車椅子で方向転換をすることを考えると、140~150cm角のスペースが必要になる場合もあるでしょう。

また、現在は問題なく歩行できている場合でも、今後車椅子や歩行器が必要となることは十分に考えられます。将来のことを考え、車椅子や歩行器が必要になったときでも問題なく動けるよう、スペースを広めにとることが大切です。

まとめ

老人ホームの個室に持ち込むと便利なインテリアには、テレビ・冷蔵庫・加湿器・タンス・収納ケース・ベッドなどがあります。ただし、施設によっては持ち込みを制限・禁止している家具・家電もあるため、入居予定の老人ホームの設備やルールについて確認することが大切です。

老人ホームの個室の広さは施設の種類によっても異なるため、個室にインテリアを持ち込む場合は部屋の広さやレイアウトを入居前にしっかりと確認しましょう。老人ホームで利用しやすいインテリアを選ぶ際は、つかまっても倒れない家具や使い慣れた愛着のある家具を選ぶのがポイントです。

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