老人ホーム・介護施設はどんな服装をすればいい?体の状態別の服装例
老人ホーム・介護施設への入居を控えている方の中には、どんな服装をすればいいのか、反対におすすめしない服装は何か気になっている方もいるのではないでしょうか。
老人ホーム・介護施設で着用する服は、基本的に入居者本人が気に入っているもので問題ありませんが、体の状態に適した服装を選ぶことがポイントです。
当記事では、老人ホーム・介護施設に適した服装・適さない服装にくわえて、体の状態に合った服装例や服を用意する際の注意点などについて解説します。
1. 老人ホーム・介護施設ではどんな服装をするとよい?
老人ホームや介護施設で着る服装には、明確な決まりや基準はありません。
しかし、リラックスできない服装や生活に支障をきたす服装は、入居者のストレスにつながります。老人ホームや介護施設で着る服装は、リラックスできる快適なものを選びましょう。
老人ホーム・介護施設では、どんな服装をすればいいのか分かりやすく解説します。
1-1. 基本は入居者本人が気に入っている服装
老人ホームや介護施設では、自宅のようにリラックスしてすごせることが理想です。入居者本人が普段着ているお気に入りの服であれば、変化にともなうストレスを軽減できます。
服装は自己表現方法の1つであり、自分の好きな服装をしたりおしゃれを楽しんだりすることはメンタル的にもよいと言われています。無理にほかの入居者のスタイルや、色味に合わせる必要はありません。
ただし、普段着ている服装が介助の妨げになる可能性があれば、おしゃれより利便性を重視することが重要です。
1-2. 着脱しやすく体の動きの邪魔にならない服装
老人ホームや介護施設での服装は、着脱しやすく体の動きを邪魔しない形状がおすすめです。立つ・座る・両腕を上げるなど、日常動作の邪魔にならないかチェックしましょう。
加齢にともなって体を動かしにくくなるため、袖や裾が絞ってあり着脱しにくい服装は避けたほうが無難です。指先の動きに不安がある場合は、ボタンで留めるタイプの服は着脱が難しいでしょう。
自分で着替えができることは、自立度や生活満足感の維持にもつながります。
1-3. 体への負担が少ない素材を使った服装
老人ホームや介護施設で着る服は、体への負担が少ない素材を選びましょう。
体に合わない素材の服は、肌荒れや不快感などにより体調不良の原因となる可能性があります。肌が弱い方であれば、吸水性・速乾性・保湿性に優れている麻素材や綿素材がおすすめです。
また、体を動かしやすい軽い素材を選ぶことで体への負担も軽減できます。軽い素材の服装は歩行や動作がしやすく、レクリエーションやリハビリにもぴったりです。
1-4. 体の状態に適した服装
入居者の服装選びでは、体の状態を考慮することも大切です。体の状態によっては、被るタイプの服や硬い素材が着脱の難しさや着心地の悪さにつながる場合があります。
体に片麻痺がある方は、伸縮性のある素材の服のほうが着替えやすいでしょう。拘縮が見られる方は、被るタイプの服より前開きの服のほうが着脱しやすさが向上します。
また、体の状態に合わせて留め具の種類を選ぶのもポイントの1つです。留め具の種類によって、メリット・デメリットが異なります。自分で留め具を外せない方には、介助しやすいスナップボタンやマジックテープの服も検討しましょう。
2. 老人ホーム・介護施設におすすめしないのはどんな服装?
老人ホームや介護施設での服装は、基本的に入居者の好みや生活のしやすさを重視して選びます。しかし、破損や紛失があると困る服や危険のリスクがある服装は適していません。
ここからは、老人ホームや介護施設におすすめしない服装を具体的に解説します。
2-1. 高価な服装
高価な服は、老人ホームや介護施設での生活に向いていません。
高価な服装をおすすめしないおもな理由は、下記の通りです。
- 食事の際に食べこぼしで汚れる可能性がある
- 乾燥機を使用するため素材によっては傷むことがある
- 破損や紛失のリスクがある
食事の際の食べこぼしが原因で、大切な服にシミが残る場合があります。ウール100%などの素材は、洗濯や乾燥で傷む恐れがあり避けるのが無難です。特に本人の思い入れが強い服は、破損・紛失した際のショックが大きくなる可能性があるため、おすすめしません。
2-2. フォーマルな服装
ジャケットやスラックスといったフォーマルな服装は、老人ホームや介護施設には不向きです。
伸縮性のないフォーマルな服装は、素材が硬く体を動かしにくいため、転倒リスクが上がります。ケガのリスクを避けて安全に生活するには、やわらかくて肌触りのよい素材を選ぶことがポイントです。
また、素材が硬いと介助しにくくなるため、フォーマル寄りの服装は避けましょう。
2-3. 洗濯に手間がかかる服装
セーターやニットなど洗濯に手間がかかる服装も、老人ホームや介護施設には向いていません。
老人ホームや介護施設のおもな洗濯方法は「クリーニング業者に依頼」「施設の洗濯機で洗濯」の2つです。施設内で洗濯するケースが多く、おしゃれ着洗いのように洗い方を分けることはほとんどありません。手洗いやドライクリーニングが必要な服も、一緒に洗濯します。
ビーズやレースなどの装飾が多い服、高価な服など洗濯の手間が増える服は避けたほうが管理しやすいでしょう。
2-4. 裾が長いスカートやトップス
裾が長いスカートやトップスは、転倒リスクが高いため老人ホームや介護施設には向いていません。老人ホームや介護施設では、男女問わずパンツスタイルが基本です。
裾が長いスカートやトップスは、歩行中に裾を踏んだり車椅子に乗る際に裾が車輪に巻き込まれたり、思わぬ事故やケガの原因になります。スカートを穿く機会が多い方は、服装選びに注意しましょう。
3. 体の状態に合った服装の選び方・服装例
老人ホームや介護施設で着る服装は、入居者の体の状態に合わせて選ぶことが大切です。
以下では、体の状態別に服装の選び方と服装例を紹介します。
体の状態 | 服装の選び方 | 服装例 |
---|---|---|
自分で着替えられる状態 |
|
|
更衣介助が必要な状態 |
|
|
ズボンは、ウエストにゴムが入っているタイプがおすすめです。
体に麻痺がある方や寝たきり状態の方は、更衣介助が必要なケースが多いため、前開きや着脱しやすい留め具の服が向いているでしょう。
ただし、留め具がマジックテープの服はテープが傷みやすく、着用不可とする老人ホームや介護施設もあります。入居予定の施設に、前もって服装の決まりを確認しましょう。
4. 老人ホーム・介護施設で着る服を用意する際に気をつけたいこと
老人ホームや介護施設で着る服を用意する際の注意点は、以下の4つです。
・下着や肌着などのストックを用意しておく
下着や肌着は、洗濯の回数が多くなります。漂白剤の使用でダメージを受けやすいため、不足しないように5枚以上を目安に多めに用意しておきましょう。
・整理や管理しやすい量の服を持って行く
居室の収納スペースは、入れられる服の数が限られます。クローゼットやタンスに収まるだけの量を持って行きましょう。
・外出時や寒さ対策に使えるものも用意しておく
通院やレクリエーションなどで外出する機会もあります。外出用の服や体温調節のためのカーディガン・ひざ掛けなども用意しておきましょう。
・記名しやすい服を選ぶ
老人ホームや介護施設では、多くの入居者が生活しています。紛失防止として、衣類にはすべて記名が必須です。記名しやすい素材や名前が目立ちやすい色合いの服を選ぶと、管理しやすくなります。
用意した服が生活に支障をきたす際は、施設から適切な服装を提案されることもあります。入居者の体の状態を考慮しつつ、服装を見直しましょう。
まとめ
老人ホームや介護施設で着る服装としては、基本的に入居者本人のお気に入りのもので問題ありません。しかし、体の状態に合わせて動きやすい服や、体への負担が少ない素材の服がおすすめです。
素材が硬いフォーマルな服装や裾が長いスカートなどは、老人ホーム・介護施設での生活に支障をきたす場合や、転倒リスクを高める恐れがあるため向いていません。洗濯に手間がかかる高価な服装や、セーター・ニットなどは避けるのが無難です。
安全かつ快適な老後の生活を送れるように、老人ホーム・介護施設に適した服装を選びましょう。